JAJA720B September 2017 – December 2021 DRV5011 , DRV5012 , DRV5013 , DRV5013-Q1 , DRV5015 , DRV5015-Q1 , DRV5053 , DRV5053-Q1 , DRV5055 , DRV5055-Q1 , TMAG5110 , TMAG5110-Q1 , TMAG5111 , TMAG5111-Q1
インクリメンタル・ロータリー・エンコーダは、回転の動きを電気信号に変換し、自動化システムをより精密に制御できるようにします。角度を測定するアブソリュート・エンコーダとは異なり、インクリメンタル・エンコーダでは、回転が発生したときに High パルスと Low パルスを交互に生成し、これによって回転する物体の速度と方向を示すことができます。
コンピュータ用マウス・ホイール、流量計、ノブ、ホイール速度センサ、欠落したステップを検出するためのステッパ・モーター・フィードバック、車載用ウィンドウ、サンルーフ、シート、ミラー用のブラシ付き DC モーター・センサなどに利用できます。
出力信号
1 方向の回転のみを測定する場合は、「単一出力」に示すのと同様のトグル出力を 1 つ持つエンコーダを使用します。
時計回りと反時計回りの移動を区別する必要がある場合は、位相をオフセットした 2 つのエンコーダ出力を使用します。2 ビットの状態の順序により、方向が反転したことが示されます。「2 ビット直交出力」に示すように、各極ペアがエンコーダのそばを通過すると、4 つの固有の出力条件が生成されます。
90°の位相オフセット (直交) を使用すると、各状態間のタイミング・マージンが最大になり、機械的許容誤差、センサのミスマッチ、信号ジッタの存在による誤差を回避できます。
テクノロジー
インクリメンタル・エンコーディングを実現するには、さまざまなテクノロジーがあります。
磁気式エンコーダは、以下の理由から、低コスト、小型、非常に高い信頼性を実現できます。
1 回転あたりのインクリメント
エンコーダ用に選択された磁石の極数によって 1 回転あたりに生成される出力状態の数は異なり、検討すべきトレードオフがあります。
閉ループ速度制御を使用するモーター・システムでは、速度の許容誤差、負荷トルクの変動、モーターの慣性に応じて、帰還が十分に高速である必要があります。各極ペアには 4 つの出力状態があるため、出力データ・レートを使用してエンコーダの要件を決定できます。回転速度は通常 RPM (回転/分) で表されるので、これをEquation1 に示すように使用してシステム要件を決定できます。
低速回転アプリケーションでは、主な懸念事項は各インクリメント間の角度です。たとえば、10°ごとにイベントが必要な場合、1 回転あたり 36 の出力状態を持つエンコーダが適しています。各磁極ペアは 4 つの状態を生成するので、18 の極、つまり 9 ペアを持つ磁石が必要です。
エンコーダの分解能が高い場合の欠点は、機械的許容誤差とセンサの許容誤差をより厳しくする必要があることです。極ピッチを小さくすると、リング磁石の磁化深度も小さくなります。これにより、センサが観測する磁界の大きさが制限されます。動作スレッショルドが低いラッチは、弱い磁石を検出し、直交のずれを削減できるため、この目的に理想的です。ただし、極数が多すぎる磁石を使用すると、ホール効果ラッチを適切にトリガするのに十分な入力が得られない可能性があります。センサを磁石の近くに配置すると、この問題が解決する可能性はありますが、機械的な許容誤差により、このように調整できない場合があります。
別のアプローチは、ギア比を使用して、追跡対象の物体よりも磁石を高速に回転させることです。このようにすると、磁界強度を犠牲にせずに、精度と分解能を向上させることができます。たとえば、1:1 のギア比で 1 つの遷移状態が 10°の回転を表す場合、2:1 のギア比では、同じ極遷移が 5°を表すようになります。重要な点は、どちらの場合も、センサが遷移中の各極を検出するには、センサのサンプリング・レートを 1 秒あたりの極数の 2 倍より大きくする必要があり、3 倍以上が理想的であるということです。詳細については、DRV5012 超低消費電力デジタル・ラッチ・ホール効果センサのデータシートの「アプリケーション」セクションを参照してください。
リニア・ホール・センサの使用
DRV5055 などのリニア・ホール・センサは、インクリメンタル・エンコーディングにも使用できます。事前定義された磁気スレッショルドでトグルするラッチ付きデバイスとは異なり、リニア・ホール・センサは、磁束密度に比例したアナログ出力電圧を生成します。
2 つのセンシング素子を 90°の位相差で使用すると、正弦出力と余弦出力が得られ、絶対角度のエンコーディングに使用できます (2 極磁石を使用)。この方法の詳細については、「関連技術資料」を参照してください。
デバイス | 特性 | 設計上の考慮事項 |
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DRV5011 | 最大動作スレッショルド 3.8mT の SOT-23、X2SON、DSBGA、TO-92 パッケージで提供 | 30kHz の高いセンシング帯域幅により、このデバイスはほとんどのロータリー・アプリケーションで多用途に使用可能。パッケージのバリエーションにより、ほとんどのアプリケーションに対応。2.5V~5.5V 電源で動作。 |
DRV5012 | 低プロファイルの X2SON パッケージで、ピンで選択可能な帯域幅により低消費電力を実現。最大動作スレッショルドは 3.3mT。 | サンプリング周波数が高いほど、平均電流は大きい。1.65V~5.5V 電源で動作。20Hz と 2500Hz のサンプル・レートを選択可能。このレートは、予測される入力周波数の 2 倍以上にする必要あり。 |
DRV5013 | 電源電圧範囲が 2.5V~38mV と広く、ほとんどの設計でこのデバイスを簡単に使用可能 | 標準消費電流は 3mA、センシング帯域幅は 20kHz。車載グレードと商用グレードで提供。 |
DRV5015 | 最大スレッショルドが 2mT と小さく、全体的な直交精度を向上 | 動作電圧は 2.5V~5.5V に制限され、ICC 電流の代表値は 2.3mA。センシング帯域幅の代表値は 30kHz。車載グレードと商用グレードで提供。 |
TMAG5110 | デュアル出力の 2D ホール効果ラッチにより、1.4mT という低い最大スレッショルドでラッチ動作を直接監視 | 2D ラッチは最小の部品数で設計のフレキシビリティを実現。直接出力を使用する場合、マイクロコントローラで速度と方向を計算する必要あり。 |
TMAG5111 | デュアル出力を速度と方向に変換し、最大スレッショルドが 1.4mT と低い 2D ホール効果ラッチ | TMAG5110 に類似しているが、デュアル出力は速度と方向に合わせてフォーマット。これはロータリー・エンコーディングでは特に有用だが、最適な直交整列のための補正に役立つラッチ動作はなし。 |
DRV5055 | アナログ出力リニア・ホール効果センサ、SOT-23 および TO-92 パッケージで提供 | 絶対角度エンコーディングに最適。複数の感度オプションがあり、センサを柔軟に配置可能。 |
名称 | 概要 |
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2 次元を使用したインクリメンタル・ロータリー・エンコーディングの直交誤差の低減 | インクリメンタル・エンコーディングと、最適な直交整列を実現する設計方法について説明した 2D ホール・ラッチの設計ガイド |
ホール効果センサを使用した設計でよくある 3 つの落とし穴とそれらを回避する方法 | 磁気エンコーダの一般的な問題と、性能を向上させるためのソリューションについての説明 |
TMAG5110-5111 EVM | 10 極と 20 極の磁石を使用する TMAG5110 および TMAG5111 の両方を使用したロータリー・エンコーディングの実践的なデモ |
TIDA-01389 | 小さな外形のサンルーフ用モータ・モジュールのリファレンス・デザイン |
TIDA-00480 | 車載ホール効果センサ・ロータリ・エンコーダ |
TIDA-00828 | LDC0851 を使用する 32 ポジションの誘導性センシング・エンコーダ・ノブのリファレンス・デザイン |
TIDA-00615 | LDC1312 または LDC1314 を使用する誘導性センシング 32 ポジション・エンコーダ・ノブのリファレンス・デザイン |
ホール効果センサを使用した回転動作の絶対角度測定 | 角度センシングの詳細について説明し、ほかの関連コンテンツへのリンクと詳細を掲載したアプリケーション・ブリーフ |
TI プレシジョン・ラボ - ホール・エフェクト位置センサを使用したロータリー・エンコーディング | ホール効果センサを使用したロータリー・エンコーディングに関するビデオ |
TI プレシジョン・ラボ - 2D ホール・センサ・ラッチについて | 2D ホール効果ラッチに関するビデオ |
TI プレシジョン・ラボ - 磁気センサ:精密な角度測定を行うためのシステム計算 | リニア・ホール効果センサを使用した角度測定に関するビデオ |